2026/07/22
E-Defense today
第13回米国地震工学全国会議(13NCEE)に参加しました
7月13日から17日の間、米国地震工学研究所(Earthquake Engineering Research Institute:EERI)主催の、第13回米国地震工学全国会議(13th National Conference on Earthquake Engineering:13NCEE)が、米国オレゴン州ポートランドのオレゴン・コンベンション・センターにおいて開催されました。ポートランドは、活気にあふれ、多様性を尊重する都市であるとともに、Cascadia Subduction Zoneおよび複数の地域活断層による高い地震リスクを有する地域に位置しており、地震工学会議の開催地として非常に意義深い場所です。本会議は、地震被害の解明および軽減に関する最新の知見、技術、実務的な取組を、研究者および実務者が共有する重要な機会を提供することを目的としています。地震工学分野の幅広い関係者が参加し、最新の研究成果、実務における技術的進展、ならびに地震ハザード、リスク評価、防災・減災、公共政策に関する新たな課題について議論が行われました。防災科学技術研究所(NIED)兵庫耐震工学研究センターからは、西研究員およびLin研究員が本会議に参加し、世界各国の研究者と技術情報や研究上のアイデアを交換しました。
特に注目すべき活動の一つは、米国国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology:NIST)が主導する「非構造部材フラジリティデータベース開発」です。本ワークショップを通して、近年開発された非構造部材データベース(Nonstructural Element Database:NED)について情報を収集しました。NEDは、非構造部材に関する試験データおよびフラジリティモデルを包括的に収録した、オープンソースのリレーショナルデータベースです。実習では、各自のコンピュータ上にデータベース環境を構築し、新規データの取り込み方法を実践するとともに、データベースの構成、データ提供者向けガイドライン、利用可能な関連資料について確認しました。本データベースの枠組みは、今後、E-ディフェンスにおける実験結果の整理および公開・共有に活用できる可能性があります。
ネットワーキングイベントでは、現在の研究課題、将来的な共同研究の可能性、および大規模実験データの今後の活用について意見交換を行う貴重な機会が得られました。また、複数の研究者から、E-ディフェンスで取得された実験データを活用した研究成果が発表されました。例えば、カリフォルニア大学アーバイン校の研究者から、鋼構造建物の鉛直方向の地震応答を検討するための三次元解析手法が紹介されました。この手法は、2023年にE-ディフェンスで実施された10層鋼構造建物の実験データを用いて妥当性が検証されています。また、スタンフォード大学の研究者からは、日米共同研究プロジェクトの一環としてE-ディフェンス振動台で実験された、フレーム・スパイン構造およびフレーム・スパイン・FLC構造試験体の高次モード応答に関する研究が発表されました。
13NCEEへの参加を通じて、米国をはじめとする各国における最新の研究動向および地震工学の実務的な取組について有益な知見を得ることができました。技術セッション、ワークショップ、研究者との議論を通じて得られた知識、人的ネットワーク、および新たな研究アイデアは、E-ディフェンスにおける現在進行中の研究および今後の研究プロジェクトに活用されることが期待されます。

会場の様子
