今月のピックアップ加振実験映像This Month's Featured Shaking Test Video
毎月15日頃に、過去の加振実験映像を1つピックアップして、解説しています。
-
E200505 : E-ディフェンスによる既存不適格建物補強・無補強実験

解説
昭和56年の建築基準法改正以前に建てられた,古い木造住宅の倒壊現象の再現および耐震補強工法の開発・検証を目的として,2005年11月,2棟の木造住宅試験体を対象としたE-ディフェンス実験を実施しました。
実験で使用した2棟の試験体は,実在の築32年の木造住宅(木造軸組工法)で,同じ構造仕様及び間取りで建てられたものです。この2棟を丁寧に解体して,部材を運搬,E-ディフェンス震動台上で再組立てすることで「移築」しました(写真奥行方向がX方向,写真横方向がY方向)。1棟は何もしない「無補強試験体」(写真右),もう1棟は梁柱接合部の補強金物,構造用合板,筋交いを追加設置することで耐震補強を施した「耐震補強試験体」(写真左)としました。「無補強試験体」の評点※1は,1階は1.17(X方向)および0.50(Y方向),2階は1.23(X方向)および0.85(Y方向)です。一方,「耐震補強試験体」の評点は,1階は1.97(X方向)および1.84(Y方向),2階は1.94(X方向)および2.01(Y方向)となっており,大幅に耐震性が向上しています。
1995年兵庫県南部地震において,JR鷹取駅で観測された地震動(震度7相当)で加振したところ,「無補強試験体」が完全に倒壊しました(E200505_051121.wmv)。このような住宅1階部分が倒壊する現象は,兵庫県南部地震でも数多く発生しましたが,それから約30年経過した2024年能登半島地震でも確認されております。「耐震補強試験体」は,倒壊は免れましたが,構造用合板の浮上りやはずれ,筋かいのはずれ,金物の緩みなどが確認されており,損傷状況を評価して,評点を再計算したところ,1階で0.93(Y方向)となりました。
その後,倒壊した「無補強試験体」を撤去して,損傷した「耐震補強試験体」を再度JR鷹取駅で観測された地震動で加振すると,「無補強試験体」と同様,完全倒壊に至りました(E200505_051124.wmv)。
近年の大規模地震では,繰返し大きな地震動の発生が観測されております。複数の地震動により,建物の損傷程度が蓄積されることがありますので,お住いの住宅の耐震性能を的確に把握して,状況に応じた対応をシミュレートしておくことが重要です。
ASEBIにて,詳細な実験データを公開しています。
DOI: https://doi.org/10.17598/NIED.0020-E200505
※1:評点は、保有耐力/必要耐力で算出します。1.0で新耐震基準を満たす最低限の耐震性能、1.5以上で「倒壊しない」と評価されます。また,1.0未満の場合は倒壊の可能性が高いことを示します。更新日:2026/01/15
