E-ディフェンスを活用した都市のレジリエンス高度化研究開発 サブプロA-1
地盤損傷に伴う建物被害過程の解明と被害評価技術の研究開発

研究内容

研究内容

背景と目的を基にして、本研究では、以下の内容の研究を推進します。

液状化後の地盤特性に影響する要因の推定

過去の地震で液状化した地盤を、長期間にわたって調査した結果、
1) 液状化した層の浅い部分は液状化前よりも緩くなっている一方、深い部分は密になっている
2) 液状化した地盤の特性は時間の経過とともにゆっくりと回復するが、地盤特性が安定化するまでに数ヶ月から半年という長い時間がかかる
ことが明らかとなっています(※1)。
また、数値解析の結果、液状化前と液状化後において、土粒子間の接触力が再分配されることが示唆されています(※2)。
これらの結果から、一度液状化した地盤の特性は、液状化後の土粒子の沈降過程、すなわち、土粒子の再分配と接触力の再分配に影響するという仮説が成り立ちます。地震前と液状化後の土粒子の配列を示した概念図を図1に示します。
土粒子の径が小さいほど、液状化により浮遊して沈降する時の速度が小さくなります。したがって、径の小さい土粒子は、浅い位置に緩く堆積しやすくなります。もし、地表面付近に透水性の低い層が存在すると、間隙水圧が高い状態が長く維持されるため、土粒子の沈降速度が遅くなり、さらに緩く堆積しやすくなることが推定されます。この仮説をベースにして、E-ディフェンス実験および関連研究の研究計画を立案します。

図1:液状化前後の土粒子の配列
図1:液状化前後の土粒子の配列

【参考文献】
※1:中澤博志・河又 洋介、液状化地盤の長期的回復傾向に関する現地調査および実験的研究、第16回日本地震工学シンポジウム、2023.
※2:T. Shibata, M. Jiang, A. Kamura & M. Kazama: 3D-DEM analysis from normal consolidation to reconsolidation through constant volume cyclic shear, 18WCEE, Milan, July, 2024.

E-ディフェンス実験に向けた事前検討

E-ディフェンス実験は、大型で費用も時間も要するため、小型~中型の模型実験や数値解析を実施して、事前検討を行うことにより、実験成果を最大化することを目指します。防災科学技術研究所だけではできることに限りがあるため、国内外の研究者の協力を得て、検討を進めています。

E-ディフェンス震動台を用いた大型実験

2026年度7月現在の計画では、2027年度にE-ディフェンス震動台および図2に示す直方体大型土槽を用いた、大型実験の実施を検討しています。地震動を入力して液状化させた地盤を1ヶ月~1.5カ月放置して、その間、定期的に地盤調査を行うことで、液状化後の地盤特性の変化や再液状化強度を評価します。その後、地震動を入力して、地盤を再液状化させます。E-ディフェンス実験で得られたデータを分析して、液状化後の地盤特性変化を評価する方法を提案します。
E-ディフェンス実験により得られたデータは、可能な限り速やかに公開して、国内外の研究者によるデータ利活用を促進します。進捗状況等は、E-ディフェンス実験のページで報告させていただきます。また、E-ディフェンス実験のデータをリファレンスデータとして、事前検討結果の検証やE-ディフェンス実験を補完するための実験や数値解析を実施します。これらの研究については、関連研究のページで紹介いたします。

図2:E-ディフェンスが保有する直方体大型土槽
図2:E-ディフェンスが保有する直方体大型土槽

数値解析コンペティションの開催

E-ディフェンス実験について、国際的な数値解析コンペティションの開催を検討しています。このイベントを通じて、数値解析技術の検証やデータ利活用の推進、研究コミュニティーの活性化に貢献できればと考えています。詳細につきましては、決まり次第、数値解析コンペティションのページにアップさせていただきます。

関連研究の推進

大きな地震が発生するたびに、地盤の液状化に伴う地盤の変形、埋設管路の浮き上がりや、建物の杭基礎の損傷、顕著な噴砂による道路の埋没事例が報告されています。こういった地盤・埋設管・杭基礎・避難道路の損傷の即時ヘルスモニタリング方法の開発に資するデータ蓄積を目的として、所外研究者の協力を得て、様々な実験や数値解析、現地調査や観測を行います。関連研究のデータも、可能な限り公開していく予定です。詳細は、関連研究のページをご確認ください。

データ共有を核とした研究ネットワークの構築

近年、AIを用いた技術開発が急速に進んでおり、物理エビデンスとして、実験データの重要性が高まっています。また、オープンサイエンス化が進展しており、近い将来、研究データの公開が義務づけられるものと推測されます。これらのことから、義務だからデータを公開するのではなく、戦略的なデータ共有のあるべき形を検討する必要があります。データ共有をコアとする国際的な研究ネットワークの構築により、研究効率やデータ蓄積速度の向上が可能と考えています(図3)。本研究を通じて、国内外の研究者と研究ネットワークの在り方の検討を進め、プロトタイプとなるネットワークの構築を目指します。

図3:研究ネットワーク概要図
図3:研究ネットワーク概要図